特殊清掃人のニーズ
テレビや新聞等で孤独死の言葉を耳にしない日はありません。
それだけ身近な事になってきています。
亡くなられた後の片付けは、本来ならご遺族が行う事ですが、色々な事情により出来ないことが殆どです。
「特殊清掃」の言葉が今ほどの認知度がない頃から、孤独死があった部屋の清掃、消毒、片付けを行っていた業者はありました。
遺品整理が注目され初めた2010年頃から、特殊清掃の仕事も注目され始めました。
企業や団体が特殊清掃に関する民間資格を出し始めたのもこの頃からです。
それでは特殊清掃人を目指す方に特殊清掃の生業をご紹介いたします。
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もくじ
特殊清掃人として作業をしているのは、遺品整理業者が多く、ハウスクリーニング業者やリフォーム業者も行っています。
警察や葬儀社等からの依頼を個人で請け、特殊清掃だけを行っている人もいます。
年齢的には30代後半〜40代の方が多いです。男女比としては、男性8割、女性2割といった感じです。
20代は、社会経験が少ないため孤独死のような凄惨な現場の「重さ」を理解することが難しく、入社しても長続きしないです。
特殊清掃作業では、感染のリスクや作業効率を考慮して防護服を着用し、防毒マスクを着用して作業を行います。
近隣への臭いの事も考え、真夏であっても死臭が充満した部屋の臭いを外に出さないように窓は開けません。
エアコンも臭いが機械に付着してしまうので、基本的には動かしません。
防護服を着用しての真夏の作業は、サウナスーツを着用して作業しているのと同じなので、予想以上に過酷です。
それに耐えうる体力と、凄惨な状況に耐えられる精神面での強さが求められます。
未経験の人が特殊清掃人として働きたいと民間資格で基本を勉強することも良いかとは思いますが、それだけでは不十分です。
普段私たちが気を付けている事を4つ挙げてみました。
孤独死があった部屋に見積りや作業で入る時に、故人の死因までの情報を知る事はほとんどありません。
お亡くなりになった方が重篤な感染症を患っていた、という可能性も0ではないのです。
ですから消毒剤散布、防護服、防毒マスク等十分な対策を行ってから作業に移る必要があります。
亡くなられてから数時間で、腸内細菌が有機物の分解を始め腐敗ガスを発生させます。
死後3日も経てば蛆虫等の害虫が発生します。
ハエやゴキブリにより体液の汚染箇所は広がり、二次感染の危険性が高まります。
作業中特殊清掃の現場の窓を開けてしまうと近隣に死臭をまき散らしてしまう、ハエのような害虫が近隣を襲う等周囲に多大な被害を与えてしまいます。
心労が重なっているであろうお客様にさらなる負担を強いてしまう事は絶対にしてはなりませんので注意しなければいけないポイントです。
集合住宅の場合体液が階下の部屋まで染み込んでしまうということもあります。
技術の無い業者は、体液がある箇所の見た目だけしか清掃しません。
その後はオゾン脱臭機を長時間稼働させれば消臭ができると思ってます。
見た目が綺麗でも体液が染み込んでいる場合、臭いは滲み出てきてしまいます。
臭いの元が取り切れていなければ、オゾン脱臭をどんなに長時間行っても臭いは消えません。
未熟な業者はオゾン脱臭機を無意味に稼働させているので、価格が上がります。
適切な施工をしなければ作業時間が増え、無意味に価格が上がってしまう。
これでは特殊清掃人の価値が無いです。
特殊清掃人は確かな技術を提供し、お客様に寄り添う仕事でなければならないのです。
googleやyahooの検索ワードを分析すると「特殊清掃 求人」「特殊清掃 給料」のキーワードで調べている人がとても多いです。
それだけこの仕事に就きたい人が多い事だと思いますが、興味本位であったり高額な給与が貰えると思い調べている人が多いです。
雑誌で「高額収入仕事ランキング」や「転職するならこの仕事」のような記事で遺品整理や特殊清掃に関わる仕事が紹介されてます。
ですが、取り上げられている程の高額な給与ではありません。年相応かそれより多少多い程度です。
興味本位であったり、間違った給与額の情報だけでこの仕事を希望する人は長続きしません。
何よりも大事なのは「想い」です。
「特殊清掃人として故人やご遺族に何ができるのか?」
ご依頼者に満足の頂けるサービス提供を考えている人は努力を惜しみません。
除菌、消臭の技術について日々研究をし、孤独死やペットの糞尿臭、火災現場での焦げ臭などに効率よく対応できるよう努力をしています。
この仕事に新規参入を考えている業者や個人から「現場の経験をさせてほしい」と問い合わせを多く受けますが、基本的にはお断りをしています。
それは何故かと言うと、その会社、その人の「想い」が見えてこないからです。
口では立派な事を言ってきますが、それはノウハウを教えてもらうための綺麗事でしかなく、ちょっと見聞き、何回か現場作業に入っただけで「特殊清掃人」になったつもりでいるのです。
そういう業者(人)がトラブルを起こしているのです。
安い見積を出して契約しても、技術力は無いので完全消臭が出来ずクレームになります。
極端な話、安さをウリにしている業者より、見積額が高くても内容をきちんと説明してくれる業者の方が信用できます。
特殊清掃に用いる薬剤や機材は決して安いものでは有りません。
特殊清掃作業には危険が伴います。
それらを加味すればそれなりの費用も掛かります。
それを高額だとかぼったくりと言われるのは、見積額の根拠が無いので依頼者に納得して頂ける説明が出来ないからです。
以上のことを踏まえて、本物の特殊清掃人とは以下のポイントを押さえている人なのではないでしょうか。
この気持ちをもって働くことができる人であれば本物の特殊清掃人と呼べるのでしょう。
これらの気持ちを持って特殊清掃の仕事に打ち込むことが出来る!
という方であれば特掃隊は喜んでその方を迎えいれることでしょう。
貴方と肩を並べてお仕事ができる日が来ることを願っています。